商店街の主人たちの思いのままをつづるひとりごとコーナー。連載で登場しますのでお楽しみに!

休日
休日
この商店街で働き始めて早30余年、年齢も50歳を越えています。
仕事に忙殺されている毎日ですが、週に一度休日を頂いております。
こんな私の気ままな休日を紹介してみたいと思います。
まず、いつもより少し遅めに起きて朝食をダラーッと食べます。
訳もなくただ惰性的にテレビをつけてこれまたダラーッと眺めています。
ようやく思考回路が動き始めた頃に、
もし天気が良ければ店の奥から自転車を引っ張り出してきます。
スポーツジムに通っていますので自転車でいざお出かけです。

ジムに行く前に少し自転車で散歩します。
50歳を越えてますからスピードは小走りする程度ですが、
このゆったりとしたスピードが重要なのです。
本当は安全面を考えるとよくないのでしょうが、キョロキョロとわき見運転ができるのです。
すると思いもよらぬ新鮮な風景が目に飛び込んできます。ただ古かっただけの家が、
いま流行の京町家としてそれなりにおしゃれな店に生まれ変わっていたり、
よく知っている会社のビルが、いつのまにか高級マンションに建て替えられていたりしています。
あるいは新聞やテレビなどで話題になっていたような場所
(それは個性あふれる路地であったり神社や寺であったり)が、
急に目の前に現われて妙に感動したりするのです。
このように目的もなく町中を自転車で走り廻っていると、いろんな風景が見えてくるのです。
歩いてもいいのですが行動範囲が限定されます。
自転車の方が遠くまで行けますのでやはり自転車です。

そんなこんなでお腹が空いてきたのでお気に入りのラーメン店で昼食です。
いつもの餃子定食を注文します。本当にいつも通りです。
食後ふたたび自転車でぶらぶら。あっちに行ったりこっちに来たり、ただあてもなくぶらぶら。
このようにぶらついていると先程の町家やマンションじゃないですが、
近頃の京都の町中も随分と変化が激しいように感じます。
そんな変貌していく風景に出くわすと、人ごとではなく自分の仕事も
いつまでこのまま続けて行くことが出来るのかと急に不安な気分に陥ってしまいます。
楽しいはずの休日がちょっとブルーになる一時です。

そんな気持ちを振り切ってようやくジムに到着です。
まずはプールの見える休憩室のリクライニングシートに深々と身を沈めて、しばしリラックス。
気分も体もリフレッシュしたところで水着に着替えてプールへ。
平日の午後のため比較的空いていて一つのコースを二人か三人程度で泳げます。
この年齢になると根気がなくなってくるので、体力作りも含めて頑張って泳いでいるつもりです。
しかし若い人のスピードにはついていけません。再びブルーになる瞬間です。
泳ぎ終えて次に屋上のジャグジーやサウナのある所へ移動です。
そこは平日の午後にもかかわらずジムにくる事が出来る人達の溜まり場になっています。
私のように週に一度の人もいれば毎日来ている人もいます。
毎日組は仕事リタイヤ組もいれば午後フリーの人もいます。
野球、サッカーから競馬の話、孫や嫁姑の話、昔話にホラ話、はては愚痴に病気の話。
ありとあらゆる話題が出てきますが、私はどちらかと言えば
側で聞いていてうなずいてニコニコしています。
そんな人達との楽しい会話の輪の中に入っているとこのまリタイヤしてしまいたいような気分になってしまいます。

そうこうするうちに日も落ちかける頃、一人帰り又一人帰りと会話の輪がしぼんでゆきます。
そういう私も「また来週」と挨拶をして輪の中から外れてゆきます。
家に帰って店内を眺めるとリタイヤしたい気分も忘れて、
又明日から頑張ろうと思ってしまういつもの休日です。




執 筆 者:ヤマシタ 山下 博
イラスト:     辰巳 優

■ バックナンバー
その1  お寺と子供たち
その2  おばあちゃんたちの原宿
その3  2003年8月の地蔵盆
その4  大正の寺町通り、五盛会(ごせいかい)
その5  幸せって?!
その6  わいど!ABC
その7  祭りの思い出
その8  便利な物とはわかっているけど
その9  まちのサンパツ屋さん
その10 ご近所さん
その11 休日
その12 なごみの薬
その13 ちょっとうれしい体験をしました。
その14 45オブジェ